48個のトライアドを「でたらめに」並べるという発想
ミック・グッドリックの『前人未到の即興を生み出すギター演奏の探求』という本を読んでいて、ひとつ試してみたくなった練習がありました。トライアドを使った、ちょっと変わったボイス・リーディングの練習です。
トライアドの種類は、メジャー、マイナー、オーグメント、ディミニッシュの4つ。これを12キーすべてで作ると、4 × 12 = 48個のトライアドができあがります。この48個をランダムに並べて“トライアド列”を作り、それをできるだけ少ない横移動でつないでいく。本ではそんな練習が紹介されています。
ポイントは、コード進行を理論から組み立てるのではなく、偶然に任せて並べるところです。普段なら絶対に選ばない進行を、指板の上でなんとかつないでみる。今回は、この練習を自分なりに簡単にアレンジして試してみました。

簡易バージョンのやり方
48個を一気に並べるのはハードルが高いので、カードを使った簡易版にしました。用意するのは、ふせんか単語カードだけです。
- 48個のトライアドを書き出す:12キー × 4種類を1枚ずつ書きます。表記はシンプルに、マイナーは「−」、オーグメントは「+」、ディミニッシュは「°」としました(C、C−、C+、C°……)。
- ランダムに4枚引いて並べる:よく切ってから4枚を引き、引いた順に並べます。それがその日に練習するコード進行になります。
- そのコード進行を練習する:4つのトライアドを、なるべく指の移動が少なくなるようにつないでいきます。コモン・トーンは残し、それ以外の音は半音か全音で動かすのが目標です。
最初は、ノートの見開きにふせんを貼って作りました。

ふせん版。ノートに貼っておけば、1枚ずつはがして使えます。
シャッフルしやすいように、あとから穴あきのカードでも作り直しました。

カード版。12キー × 4種類 = 48枚
例:実際に引いた4枚をつないでみる
家族に適当に選んでもらったのは「A° → B− → E♭+ → C」の4枚でした。

ディミニッシュ、マイナー、オーグメント、メジャーと、たまたま全種類がそろいました。
この組み合わせ以外にも、何度もシャッフルして練習を続けています。
やってみて得た5つの気づき
1. トップ・ノートが半音で動いたときの感動
でたらめに選んだコード進行なのに、トップ・ノートが半音でスッと動くボイシングが見つかる瞬間があります。バラバラだったコードが、急にひとつのメロディーでつながる。これは素直に感動しました。
2. コモン・トーンの発見
「このコードとこのコードは、この音が共通なんだ」という発見が何度もありました。普段の進行ではあまり意識しない組み合わせだからこそ、共通音が見えたときの驚きが大きいです。指板上の地図が少しずつ広がっていく感覚があります。
3. ハーモニー感覚の拡張
いちばん大きかったのはこれです。理論から導いたわけではない、まさにでたらめな進行の中に、何かを聞き取ろうとする。そうやって耳を澄ませているうちに、「これもアリかも」と思える響きの幅が広がっていきました。
4. 作曲にも使える
引いた4枚が思いのほか良い響きになることがあります。自分では思いつかない進行なので、作曲のアイディア出しにもそのまま使えそうです。気に入った並びはメモしておくのがおすすめです。
5. コードは4つくらいがちょうどいい
欲張って12枚を並べ、ブルースっぽい形にしようとしたこともありました。でも、これはうまくいきませんでした。コードが多すぎると流れをつかみきれず、ただの音の羅列になってしまいます。4つくらいなら、進行全体をひとまとまりとして聞き取れて、ループして弾いても気持ちいい長さです。
まとめ:カード4枚から始める耳のトレーニング
用意するのはカード48枚だけ。毎回ちがう進行が手に入るので、飽きずに続けられます。トップ・ノートの半音進行やコモン・トーンを探すうちに、指板の見え方も、ハーモニーの聞こえ方も少しずつ変わっていくはずです。
ミック・グッドリックの本にある本来の練習は、もっと長いトライアド列を扱う本格的なものです。まずは4枚から始めて、慣れてきたら枚数を増やしてみる。そんな段階を踏んでみるのもいいと思います。ぜひ試してみてください。

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