ギターを練習する目的は、人それぞれ異なりますが、どんなに多くの時間をギターに費やしても、漠然とした目標だけでは上達の道筋が見えにくくなりがちです。
私自身も、「ギターがうまくなりたい」という漠然とした目的のもとで弾き続けていた時期がありました。
最初は楽しいけれど、次第にやるべきことや目指すべきゴールがぼやけてしまい、成果を感じられないまま、無駄に時間だけが過ぎていく――そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
そこで、私が取り入れたのが「練習をプロジェクト化すること」です。
これは、練習を明確な目標と期限を持ったプロジェクトとして捉え、計画的に進めていく方法です。
これを実践することで、ギターの練習が「つらい作業」に陥ることなく、「楽しい遊び」として捉え直すことができました。
今回は、練習をプロジェクト化することの意義とその実践方法についてお話しします。
1. 漠然とした目標の限界
「ギターがうまくなりたい」という目標は非常に広範であり、正直なところそのままではどこに向かって練習すべきかが分かりません。
ギターを弾く楽しさや満足感はありますが、どこかで「なんとなく弾いているだけ」で終わってしまい、進歩を実感しにくくなります。
私もかつてはこのように漠然と弾き続けていたため、「成果が上がっているのかどうか」という感覚が曖昧で、練習を続けるモチベーションが徐々に薄れていきました。
やるべきことや目標が見えないと、どれだけ時間をかけても、なかなか「上達した!」という実感を得られないのです。
2. 1つの目的にフォーカスする重要性
練習を進めるにあたって、大切なことは「1つの目的にフォーカスすること」です。
ジャズ・ギターに限らず、音楽においてやるべきことは無限にあります。
スケール、コード進行、テクニック、リズム、アドリブのフレーズ……挙げたらキリがありません。
しかし、すべてに同時に取り組もうとしても、時間的にも精神的にも不可能です。
そこで、練習を「プロジェクト化」することで、目指すべきゴールを明確に設定し、期限を決めて、計画的に進めることができます。
これにより、取り組むべきことが整理され、目の前の目標に全力を注ぐことができるのです。
3. プロジェクト化のメリット
練習をプロジェクト化することで得られる最大のメリットは、「やるべきこと」「目指すべきゴール」「期限」が明確化される点です。
このプロセスを通じて、練習が意識的な取り組みになり、無駄に時間を費やすことがなくなります。
具体的には、以下のようなメリットがあります:
- 目標が明確になる:自分が何を目指しているのかがはっきりすることで、練習の方向性が定まります。
- 進捗が見える化される:途中経過をチェックしやすくなり、達成感を得やすくなります。
- モチベーションが高まる:ゴールに向かって一歩ずつ進むことで、練習が「ただの作業」ではなくなり、達成感を感じやすくなります。
また、プロジェクト化することで、ある意味で「ゲームのような楽しさ」が生まれることもあります。
達成感や進捗の確認が、まるでゲームのレベルアップのように感じられ、練習が次第に「楽しい遊び」として取り組めるようになります。
4. ゴール設定とシラバスの活用
練習をプロジェクト化するためには、まず「ゴール設定」が必要です。
ゴールを設定することで、何を達成したいのかが明確になり、そこに向かってどう進めばよいのかを具体的に考えることができます。
ゴール設定に役立つのが、音楽大学などで使われている「シラバス(学習計画書)」です。
音楽大学のシラバスは、体系的に学べる内容が整理されており、必要なスキルを段階的に学べるようになっています。
例えば、洗足学園音楽大学では、社外向けにシラバスを公開しているので、これを参考にすることで、自分の練習プランをより具体的に立てることができます。
シラバスに目を通すことで、自分が今後どのようなスキルを身につけるべきか、どの順番で練習を進めるべきかが見えてきます。
これにより、漠然とした目標から脱却し、具体的な練習の道筋を描くことができます。
5. ゲーミフィケーションの要素
練習をプロジェクト化することで、次第に「つらい練習」ではなく、むしろ「楽しい遊び」としてギターに取り組むマインドを持つことができます。
進捗をゲーム感覚で楽しみながら練習を進めていけば、上達の過程も楽しみの一部になります。
例えば、あるスケールを覚えるプロジェクトを設定し、進捗を日々チェックしながら「次はここまでできるようにしよう」と少しずつ挑戦していく。
その過程を楽しむことで、練習が「成果を出すための作業」から「楽しさを見つけるための活動」へと変わります。
このように、練習をプロジェクト化することで、ゲーミフィケーション的な要素を取り入れ、上達の過程をより楽しく、効果的に進めることができるのです。
6. まとめ
「練習をプロジェクト化すること」は、目標を明確にし、効率的に練習を進めるための有力な手段です。
漠然とした目標で練習していた時期を乗り越え、具体的なゴールに向けて意識的に取り組むことで、ギターの練習がより充実したものになります。
さらに、シラバスやゲーミフィケーション的要素を取り入れることで、練習は楽しく、効果的に進むことでしょう。
今回の記事は以上です。
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